<レポーター>:
山縣 庸(やまがた いさお)
プログラマからシステム・エンジニアを経て、現在は、インターネット/イントラネットを中心とした
ネットワーク・システムの SIer として、お客様のネットワーク・システム・ソリューションを実現するためにコンサルティングからシステム・インテグレーション及びアウトソーシングに至るまで、日夜、経験とノウハウを積み重ねています。 |
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著者:高橋郷 長岡路恵 その他 サイズ:B5正判
ページ数:320 定価:\3,700
刊行日:2003/03 出版社:ミラクルソリューション
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○はじめに
現在のコンピュータシステムでは、稼動後も安定して動作しつづけるようその可用性を上げることが必須となってきています。そこで、システムの設計段階でその要件に基づき、使用するサーバ製品や可用性向上のための幾つかの手段や製品を選定することができます。今回は、Microsoft
製品を使用したシステム構築における可用性向上の手段である「MSCS」と「NLB」を取り上げたすばらしい手引きを紹介します。
○イントロダクション
現在はインターネット技術の向上により Webシステムや業務システムが普及しそれらを支えるサーバ群も機能分散されてきました。それに伴い、それぞれのサーバ機能に合わせた設計が必要となってきています。皆さんご存知のように、システム構築するには設計が大変重要です。システム設計には、考慮する点がいろいろあります。ここでは、最近
Microsoft が行なっている MSA(Microsoft System Architecture)という取り組みの概念を取り上げ丁寧に解説してくれます。MSA
よるシステム設計時のポイントは以下のとおりです。
・可用性
・スケーラビリティ
・セキュリティ
・管理性
本章では、これらのプランニングに関して丁寧に解説をしており、規模に関らずシステム設計に携わる方にとっては一読の価値がある内容であると思います。本書の後の章で、Microsoft
プロダクトにおけるクラスタリング技術の実装系である MSCS と NLB に関して個々のシステム設計におけるポイントを解説していますが、事前にこれらのシステム設計時のポイントを抑えておく方が、より理解を深められることでしょう。
○MSCS
皆さんご存知のように、MSCS は Microsoft が開発したクラスタリングの技術であり、Windows 2000 が提供するクラスターサービスは、サーバクラスタに分類されます。また、Windows
2000 製品の中でも Windows 2000 Advanced Server と Windows 2000 Datacenter
Server のみで提供されるサービスです。さて、皆さんは、MSCS を導入する際、どのような手順でプランニングをするでしょうか?本章では、MSCS
の適切なプランニング手順を細かく説明した上で、画面入りで実際のセットアップまで解説してくれます。前述のシステムプランニングから始まり、クラスタリングにするアプリケーションの特定、リスク調査、クラスタモデルの選定、ハードウェアプランニング、フェイルオーバーポリシー、キャパシティプランニング、バックアップサイジングなどなど、セットアップをはじめる前にこれらに付いて検討し決定しておくことは重要です。しかしながら、何はともあれ
MSCS を体験してみたい方は、セットアップの項にそって直ぐにはじめることが可能です。
それだけ親切な解説と十分な内容の細かさで大変重宝することでしょう。また、本章は本書のなかでも半分以上のページを割いており、そのなかでも
MSCS の運用・保守の項が半分を占めます。セットアップ後は、この項を参照しクラスタを構成する必要があります。また、バックアップ/リストアやトラブルシューティング、ログ解析についての記述があり、これは若干ボリュームが少ない気がしますが、一読の価値があります。運用・保守を受け持っている方は、この項を読み現在の運用と照らし合わせてみては如何でしょうか?この章の最後は、MSCS
のアーキテクチャで締めくくっています。MSCS アーキテクチャをより理解することで更に高度な運用・保守をしていくことが可能になると考えます。
○NLB
この章で解説する NLB は、MSCS などのサーバクラスタとは別のクラスタリング技術であるロードバランスシステムの一つです。TCP/IP
をベースとした Web サーバなどのシステムの可用性、拡張性を実現します。MSCS との大きな違いは、共有ディスクを持たないという点と
IP ベースのバランシングのため、サービス単位でのバランシングが出来ないという点です。また、利点としては NLB の場合、最大で
32 ノードのクラスタリングを組むことが挙げられます。これは、MSCS でのクラスタリング構成(最大 2 ノード。Datacenter
Server の場合、最大 4 ノード)に比べ可用性、拡張性に富みます。したがって、NLB を採用したシステムを設計する際は、NLB
に適したアプリケーションを選定するなどこれらの特徴を踏まえてプランニングをする必要があります。たとえば、FTP や Telnet
といった一部のプロトコルに関しては、本書でも紹介しているように Microsoft よりナレッジが出ていますのでそれを参考にすることが出来ます。また、最大
32 ノードで接続できますので、拡張性を考えたクラスタサイズやパフォーマンスの設計も必要となります。内容としては MSCS
と同様プランニングに続きセットアップ、運用保守、アーキテクチャーという構成で、大変役立つ内容となっています。
○感想
本の目的が明確なだけに、大変シンプルな構成となっていますが、中身は充実しております。第 1 章の「イントロダクション」は、システム設計を目指す人だけでなく、現在システム設計を行なっているエンジニアにとってもシステムの信頼性向上のために大変役立つでしょう。続く「MSCS」や「NLB」は、Microsoft
が提供する Microsoft 2000 ファミリのクラスタリング技術ですが、特に MSCS は構築機会が少ないせいか、あまりノウハウが出回っていません。そういう意味では、待ちに待った本であると考えます。プランニングからセットアップ、運用・保守まで著者の経験だけでなく、Microsoft
のホワイトペーパーやサポート情報を踏まえ、丁寧に解説してあるので是非参考にしてください。
○最後に
今回のブックレビューに関して、本書を提供してくださいました有限会社ミラクルソリューション様に対しお礼を申し上げます。ありがとうございました。
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